「あのね…実は紗結、夏休みに一度だけ泣きながら電話してきたんだ」 「えっ?」 敦史は奈津穂の言葉に驚いた。 じっと奈津穂を見る。 「なんで泣いてるのか、話してはくれなかったんだけどね……けど、多分元彼と会った後だと思う」 敦史は奈津穂の言葉に下を向いた。 紗結にとって元彼の存在がどれほどのものだったのか。 敦史は思い知らされた。 「でも、その後はいつもと変わらないの。多分自分の気持ち隠してたんだと思う」 敦史は出る言葉がなかった。 奈津穂は言葉を続けた。