奈津穂はそう言うと下を向いた。
敦史は唇を噛みしめる。
やっぱり紗結と元彼の間には何かある。
俺はその何かを知りたい。
このまま紗結と終わるなんてことは……絶対にしたくない。
「元彼と会ってから…何かあったの?」
奈津穂は問いかけた。
「元彼と会った日…紗結、ずっと泣いてた。
泣いて、ひたすら泣いて、俺に何も話さずに出て行った。
それから電話にも出てくれねぇ…メールも返してくれねぇ」
敦史は泣きそうになるのを必死に耐えた。
こんなにも紗結のことが好きなんだよ…
ほんとに、本当に、愛してるんだよ…
紗結のことになると、どうしても弱くなる。

