けれど今回は違う。 絶対に紗結を手放したくはない。 紗結を失えば俺はどうなるんだろう? 紗結にずっと隣で笑っていてほしい。 そう思うほど、敦史の中で紗結の存在が大きくなっていた。 そして、 紗結と連絡が取れないまま夏休みが終わった。 これからは嫌でも学校で紗結に会う。 敦史は絶対に紗結と話をしようと気合いを入れた。 このままでいいわけがない。 あの男のことも何も聞いていない。 敦史は両頬を強く叩くと、立ち上がった。