紗結と敦史は無言のまま歩き続けた。 繋いだ手が気まずさを際立てた。 「帰ろっか…」 敦史が小さく呟いた。 紗結は下を向く。 二人は一言も会話を交わさないまま、 敦史の家へと向かった。 帰っている間、ずっと敦史は考えていた。 紗結のことを俺は信じてる。 俺に言ってくれた“好き”という言葉に偽りはない。 そう感じてるのに。 なんだろう? この募る不安は。 あの優という男に、紗結を取られる気がしてならなかった。 絶対に紗結は渡さない。 渡したくない。 紗結が大好きでたまらない。