その時、 紗結が口を開いた。 「……優」 紗結はそう言うと顔を上げたが、 男と目を合わそうとはしなかった。 そして、敦史の手を強く握りしめた。 そんな紗結に、敦史の不安は募る。 「紗結…」 男は紗結の名を呼ぶ。 それでも紗結は目を合わそうとしない。 そんな二人を見て、敦史はどうすることもできなかった。