ワタシノタイヨウ

すると……


「こぉら〜、仲がいいのも結構だが、やり過ぎはよくないぞぉ。」


そう声がしたかと思うと、その声の主はユウ君の腕をがしっと掴んだ。


「鈴原平気かぁ?」


私はタオルを取り、声のする方を見上げる。


心配そうに私の顔を見つめていたのは今井先生だった。


ユウ君は掴まれた腕を強引に振りほどき、今井先生を睨みつけた。


なんとなく、嫌な空気が流れる。


私は慌てて、


『あぁ先生、私は大丈夫ですよ。いつもの事なんで。弟とじゃれあってるみたいなもんですから。』


私がそう言うと、今井先生はニッコリ笑い、


「それならいいんだ。ただ怪我しないようにな。えっと、君…神尾君だっけ?気をつけてくれよ、一応鈴原も女の子だからさ。」


『先生、一応はよけいです。』


私たちは顔を見合わせクスクス笑った。


でもユウ君はうつむいている。


「……弟かよ…」


ボソッとユウ君が何か言ったので私は『何?』と聞き返した。


けど…ユウ君はそのまま立ち上がると、


「なんでもない。戻る。」


ふて腐れたように言い捨てると、くるっと向きを変え行ってしまった。


(なんか怒ってた?そう言えば、ユウ君今井先生の事あんまり良く思ってなかったからなぁ。)


私はそんな事を思い出して、一人納得していた。



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