ワタシノタイヨウ

彼は顔を上げ、私の顔を見る。


私は彼を見つめ返し、


『私だったら絶対そう思う。先生は……?』



彼は少し驚いた顔をし、私の問いに戸惑いながらも、しばらくすると彼は静かに口を開いた。


「オレは……オレが死んでもサエが生きててくれたらそれでよかった……」


『だったら…やっぱりサエさんも同じ気持ちだと思う。そして……先生の幸せを誰よりも願ってるよ…きっと……』


私は微笑んだ。


それを見て、彼はだんだん穏やかな表情に変わっていった。


そして私の顔を優しい瞳で見つめている。


私たちは、しばらく黙って見つめ合っていた。


いつもの私なら恥ずかしくて目をそらしてしまうとこだけど……




彼が急にフッと笑い、空を見上げた。


「お前は、オレが何度か冷たく突き放しても、また隣りで笑ってるのな…。なんか、昔飼ってた犬を思い出す。」


そう言ってクスクス笑った。


『犬…!?』


「ああ。昔飼ってた犬がさ、冷たくされてもしばらくすると、何もなかったかのように尻尾を振りながらまたオレのとこに来て…なんかお前似てる。」


(うっ私は、犬ですか!?)


少し私が落ち込んでいると、


「そばにいてくれて、だいぶ助けられた……」


(それは、犬の事?それとも…)


私は彼を横目でチラッと見る。


彼はそっと私の頭をポンポンと叩くと、そのまま自分の方へ私を引き寄せた。



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