ワタシノタイヨウ

テスト当日。


朝廊下を歩いていると前から彼が歩いてくるのが見えた。


(朝から先生に会えるなんてラッキー♪)


幸い廊下には私たちしかいない。


私はニッコリと微笑み、彼に手を振った。


「おはよ。」


『おはようございます。』


「今日は大丈夫か?」


『ふふ、任せて下さい!』


私は笑顔で答える。


「へぇ、自信ありそうだな。」


『結構、頑張りましたからね。』


「そうだったな。」


彼も私に笑顔で返す。


すると、廊下の向こうから生徒の声が聞こえてきた。


彼はすっと身をかがめると、私の耳元に唇を寄せる。


「がんばれよ、カスミ。」


甘く囁く彼の吐息が耳元にかかり私の顔は熱くなっていった。


『う、うん。』


私はコクリと頷くと、教室へ向かって走り出す。


(先生の声耳元で聞くとドキドキしちゃうよ~)


頬に両手を添えると熱くほてっていた。


『やばい、今ので数式いくつか飛んだかも。見直ししなくちゃ!』


私は教室へ入り席に着くと、すぐに教科書を拡げた。


「カスミ、おはよ。ん?顔赤いけど大丈夫?」


ツキコが鋭い突っ込みを入れてくる。


『だ、大丈夫!それより、テストがんばろうね。』


私は誤魔化すように、ニッコリと微笑んで見せた。



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