ワタシノタイヨウ

「あっ。」


ドアを開けたとこで今井先生が声をあげた。


私の体は声に反応しビクッと震える。


（まだ何かあるのぉ…）


今度は何を言い出すのかドキドキしながら待つ。


「青山先生、今日お暇でしたら夜飲みに行きませんか？」


「えっ、ああ、すいません。今日はちょっと用があるんで…」


「そうですかぁ、残念だな…いろいろ話したかったんですけどね…じゃまた今度。」


そう言って、やっとドアが閉まる音が聞こえた。





『ハァ〜やっといなくなった…』


緊張の糸が切れた私は、その場に両手をつきぐったりする。


「大丈夫か。」


私の姿を見て心配そうに彼が近づいて来る。


『うん、大丈夫。』


顔を上げ私は笑って答えた。


彼は私の前まで来ると、すっと手を差し出し、私がその手を掴むとぐいっと引っ張って、立ち上がらせる。


「今井先生じゃなかったら、別にカスミの事隠す必要もなかったんだけどな…。」


『えっ、なんで？』


私は彼の言った意味がわからなくて聞き返す。


「神尾から聞いた。あいつに襲われそうになったって…」


『あっ…』


私は思わずうつむいた。
それを見て彼は私を抱きしめる。


「あいつの悪い噂は聞いてた。まさかカスミにまで…何かあったら言えよ。オレが絶対守るから。」


『うん。』


抱きしめる彼の腕にぎゅっと力が入る。


私は彼の温もりを感じ、不安だった気持ちが薄れ、安心感が私の心を包み込んだ。


「神尾にもちゃんと守ってやれって釘刺されたからな…」


（ユウ君が…いつの間に…）


「ガキのくせに生意気な奴だ…」


彼はボソッと呟き少し照れたように視線を上に向けた。



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