「‘春風’!」 辿り着いたのは、いつもと同じ 中庭が見渡せる、屋根の上だった。 …前もこうやって、‘春風’で無我夢中でここまで来た そうだ、海が楠木さんにキスされた時だーー 「…海。」 ーー誰だよソイツーー さっきの光景が頭に浮かんだ。 悲しむな 泣くな 私だけが悲しい訳じゃない 私だって海を傷つけた これぐらいのことを、私はしたんだから…