「はい。それで本当に心優しい方なんだと思っているうちに好きに……」


(なるほど…助けてもらったのがきっかけで好きに…
でも今の話を聞いてると、太一は助けたというか『やめろ!!』とだけ言って一目散に逃げたっていう風に聞こえたんだけどなぁ

それに観察って!!普通本人の前で言わないし!!


ずれてる!何かこの子ずれてる!!)


太一も私と同じことを考えているのか、若干苦笑している


「正直に言うと、『助けた』というよりも『逃げた』の方が正しいんだけどね…」


「に、げた?」


太一のカミングアウトを理解できないのか、苺はキョトンとしている


「そう。君を不良から守ることより逃げる方が大事だった。僕は君を置いて逃げたんだ」


「そんな…」


「だから僕は君の思ってるような心優しい人なんかじゃないんだ…」



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