「春川さん?」


先輩に名前を呼ばれて、はっと我にかえる。


「どうかした?」


「い、いや、なんでもな…」


顔を上げて、先輩と目を合わせる。


「…い…んです…けど…」


なんだか…


なんだかすごく申し訳なくなった。


「……っ……」


何も知らない先輩は不思議そうにあたしを見た。


「……あ、あたし…」


「…?」


「ここまでで結構です!!今日はありがとうございました!!さよなら!!」


ばっと頭を下げて、あたしは逆方向に走り出した。


「え…」


先輩は後ろで何か言っていたけど、よく聞こえなかった。