あたしは無意識のうちにずっと考えていたらしくて、気がつけばもう6時間目だった。


「今日はずーっとボーっとしとるな」


「うんうん。そんなに先輩が気になるんかいな」


「いや、意外にも司のことだったりして…」


「えー樫山くんのサボリ?」


「それはないやろー…」


「でもさ、昨日いろいろあったみたいだし…」


「…恵瑠、意外にモテるなぁ…」


「普通…やのにな」


「まぁ、俺は可愛いと思うよ。妹みたい」


「ぶはっ、春くん、恵瑠は同い年やで」


「でもなんかさ、ちょこちょこしてて妹っぽい。今回のことに関しては、娘を嫁に出す父親の気分だ」


「あっはっはー!なに?春くん、恵瑠のこと好きやったん?」


「や、だから妹だって。別に恋愛的に好きじゃないよ」


…こんな会話なんて、もちろんあたしには聞こえていなかった…