「特にさ。
数学がわかんなくって」




頭をかきながら笑う、ずうずうしい雨宮麻衣の態度に、つい、オレは笑ってしまう。




「どこだよ?」



こいつといると、つい、こいつのペースにはまってしまうオレがいる。



しかも、それが何だか心地よくて。



その心地よさに流されないように。



オレはいつも、ネクタイを握りしめる。