オレは……タクシーの中、隣で眠りこけている舞に目をやった。


「……圭………」


舞の小さな口から、漏れる名前。


閉じている目から、零れ落ちる涙。


その涙をすくい取りながら……オレは頬をかいた。


“まさか……な”


そんな考えが……舞を見ているうちに、頭をもたげたから。


でも、そんなの……本当に、“まさか”