もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】

真剣な表情の雨宮麻衣が、ヒラヒラ揺らすネクタイの裏には、H・Fの刺繍。


それは……。


まぎれもなく、オレが、雨宮麻衣に貸したネクタイ。


「この人のこと。
思い出したいのに、思い出せないの。
思い出そうとすると、怖くなって、頭が痛くなるの。
だから、思い出すのが、怖い……」


雨宮麻衣は唇をかみ締め……。


「麻衣ちゃん!!」


と言って、引っ張っていこうとする看護師さんの手を振りほどいた。