病院の中。


オレは壁に寄りかかり、自分の手で顔を隠した。


頬を伝う温かいものを、隠したかった。


誰にも、見られたく、なかった。


とめどなく落ちる透明の粒。


それがどれほど落ちようと、声だけは漏らすまいと我慢をしていたのに……。


こらえきれずにだした小さな嗚咽が、空気を震わす。