もう、誰も愛さない。って決めたのに【完】

100円のお賽銭で、そんなに頼まれたら、神様だって、困っちゃうよ。


そう何度龍の袖を引っ張っても、龍はその場で頭を下げたまま、動こうとはしなかった。


そのうち……。


どんどん、どんどん暗くなってきて……。


ようやくその場を動いた龍は、あたしの頭にポンと手を乗せると、静かに言った。


「幸せな家庭を築こうな」


その顔が……。


あまりにも静かで、いつもの龍とはかけ離れたものだったから……。