カチャカチャと爪の音を鳴らしながら、久遠が和華に近付いた。
和華はそれに気付いて、久遠を抱き上げた。
「・・なんや、この子」
「その子ね、久遠っていって川上さんが飼ってるワンコだよ!!」
「・・・そんなんちゃう」
和華がそう言い放ったと同時にガシャン、と大きな音が店内に響いた。
カウンターを覗くと、オーナーがコーヒーを淹れようとしていたカップを割ったらしい。
オーナーをうかがうようにみると、和華を凝視していた。
「お前・・・人間じゃねぇな?」
「!! あのっえ、と」
オーナーに見つめられたせいか、和華は顔を真っ赤にして私の後ろに隠れてしまった。
そうだ、この子は極度の恥ずかしがりだった。
私と話すようになってからは普通にしていたのですっかり忘れていた。
「あ、アンタこそ! 人間やけど生き神さんですやろ?」
和華が消えそうな声で反論すると、オーナーはバツが悪そうな顔をしながら後ろ髪を掻いた。
「・・久遠。 犬のふりはもうやめだ」
『・・・っはぁ!! まったく疲れましたよ』
今まで床にいた久遠は軽やかにカウンターに登って尻尾を一振りすると、音もなく二つに分かれた。
和華はそれに気付いて、久遠を抱き上げた。
「・・なんや、この子」
「その子ね、久遠っていって川上さんが飼ってるワンコだよ!!」
「・・・そんなんちゃう」
和華がそう言い放ったと同時にガシャン、と大きな音が店内に響いた。
カウンターを覗くと、オーナーがコーヒーを淹れようとしていたカップを割ったらしい。
オーナーをうかがうようにみると、和華を凝視していた。
「お前・・・人間じゃねぇな?」
「!! あのっえ、と」
オーナーに見つめられたせいか、和華は顔を真っ赤にして私の後ろに隠れてしまった。
そうだ、この子は極度の恥ずかしがりだった。
私と話すようになってからは普通にしていたのですっかり忘れていた。
「あ、アンタこそ! 人間やけど生き神さんですやろ?」
和華が消えそうな声で反論すると、オーナーはバツが悪そうな顔をしながら後ろ髪を掻いた。
「・・久遠。 犬のふりはもうやめだ」
『・・・っはぁ!! まったく疲れましたよ』
今まで床にいた久遠は軽やかにカウンターに登って尻尾を一振りすると、音もなく二つに分かれた。



