「まだ少しだけ苦いけど・・ 今日のお茶は飲んでいてワクワクするからとても楽しい気分になれるね」

「…え?」

彼はまたよく分からない感想を述べた。

言葉の意味を理解しようと悩んでいると、彼がクスッと笑いながら両肘をついて言った。

「キミがお茶を淹れてた時何を考えた?」

「何を、ですか・・・」

確か、《美味しく淹れられますように》と思いながら淹れてたはずだ。

今思えばスゴく恥ずかしい・・・

「・・思うところがあったようだね」

「えと、多分」

ぼそりと呟くように言うと、彼は紅茶の入ったカップを手に取った。

「味に関して言えば、これは商品にならない。 でも僕は、この紅茶は他にない素晴らしいものだと思うよ」

そう言いながら紅茶を一口飲んで、ゆっくりとソーサーに戻す。

私は未だに言葉の意味が分からず、悩み続けている。

「あの、私オーナーにもそういうこと言われたことなくて、その・・」

「ふむ。 そうか ならば言い換えようか」

そう言って空になったカップから視線を上げて、私に合わせる。

初めてちゃんと合わせるその瞳は、銀色で、まるで星が瞬いているかのようだ。