声にもならなかった。
『プライベートでも』
冗談のつもりなのだろうか、それとも、本気で告白してきたのだろうか。会ったばかりで人となりも解っていない愛美の言葉の意味など、和俊には解る筈もない。
ただ、嫌いなタイプの顔立ちではなかった。一年六組に足を踏み入れた後で、一番始めに意識して視線を留めた顔が、実は愛美の顔だったりしたこともまた事実である。
「宜しく、三田村さん」
言葉の意味はさておき、同じクラスに野球部仲間が二人もいたことを心の底から頼もしく思えた。
時は流れ、転入初日の放課後がやって来る。
「きりーつ! れー! ちゃくせーき!」
一日の終りを告げる号令が日直より発され、三々五々己の目的地へと散っていく。
「よし、剣持、三田村、グランドに行こう!」
監督である稲葉の号令の下、一年六組野球部組の三人もグランドに向かった。ちなみに和俊の入部は昼休みに入部届けが提出され、ホームルーム前に正式に学校側に受理されている。
グランドに入ると、既に何人かの部員達がキャッチボールを始めていた。
「ちーっす!」

