どうやら茶髪の中分けセミロング、身長169センチメートル、着痩せによってほっそりとして見える体格や、後に球界イケメンベスト5に名を連ねることになる甘いマスクというスペックに野球というワードは全く結び付かなかったらしい。
見渡す限り驚愕に目を見開いた顔がズラズラと並んでいる。それは女子に限った話ではなく、男子もまた、同じような顔をしていた。
「そげにわしが野球やるの不自然かのう……」
苦笑いするしか和俊にはできなかった。
「剣持君は……、東堂君の隣……って、休みか。三田村君の前の席に行って。三田村君、宜しく面倒見てやってくれ」
「はーい!」
いまどきの女子高生にしては珍しい黒いセミロングに白い肌といういで立ちの女子生徒が元気に左手を挙げた。その生徒の前二つの席はぽっかりと空いている。
和俊が席に着くと、早速後ろの三田村が話し掛けてきた。
「なあなあ、ポジションどこなん?」
「マウンドじゃ」
「へー、ピッチャーなんや。あたし三田村愛美。野球部のマネージャーなんよ。よろしくな、剣持君。ガッコでも部活でも……、プライベートでも」

