「はよーございます! 稲葉先生はどなたですか!?」
扉を開けると同時に大声を張り上げる。
「私だ……。随分元気な子みたいだね、剣持君は……」
よりにもよって、一番近くにいた教師が名乗りを上げた。案の定耳を塞ぎ、苦しそうな顔で片目を閉じている。
「まあ、君ぐらい元気な子が入ってくれるなら、野球部監督としては助かるんだがね」
「えーっ!? 稲葉先生が監督じゃったんすか!?」
驚きのあまり、更なる大声を張り上げる。彼の体格は、どう贔屓目に見ても野球経験者の物とは思えないのだ。
「ほんとに元気だね……、君……」
「あっ、すんません」
少し落胆する。ド素人を監督に立てることはないだろうと踏んでいただけに、この、サラリーマンの群れの中に放り込んでも恐らく際立って痩せているだろう稲葉教諭が監督であると知って、『勝てない原因はこれか』とまで思い始めてしまうほどにショックは大きい。
「君はどうして専大玉野からわざわざうちに編入して来たんだい?」
扉を開けると同時に大声を張り上げる。
「私だ……。随分元気な子みたいだね、剣持君は……」
よりにもよって、一番近くにいた教師が名乗りを上げた。案の定耳を塞ぎ、苦しそうな顔で片目を閉じている。
「まあ、君ぐらい元気な子が入ってくれるなら、野球部監督としては助かるんだがね」
「えーっ!? 稲葉先生が監督じゃったんすか!?」
驚きのあまり、更なる大声を張り上げる。彼の体格は、どう贔屓目に見ても野球経験者の物とは思えないのだ。
「ほんとに元気だね……、君……」
「あっ、すんません」
少し落胆する。ド素人を監督に立てることはないだろうと踏んでいただけに、この、サラリーマンの群れの中に放り込んでも恐らく際立って痩せているだろう稲葉教諭が監督であると知って、『勝てない原因はこれか』とまで思い始めてしまうほどにショックは大きい。
「君はどうして専大玉野からわざわざうちに編入して来たんだい?」

