耳を有基の左胸にくっつけて
 ただその音をきいてたい。


 私も欲しかった 音。

 今だけは
 私にもちょうだい。


 「気分… よくないの?」

 「ううん」

 「…だいじょぶ?」


 気を遣って 軽く
 背中を撫でる有基の手。


 「平気だよ…」


 きっと 不思議そうに
 ちょっと困ったような顔を
 有基はしてる。