「こんなにお腹痛くても、
 我慢したり薬飲んでも、

 那衣は
 赤ちゃん 産めないんだよね」


 「え?」


 意外な言葉に驚くと、
 那衣はまっすぐ俺を見た。

 切ない 真剣な目は
 誤魔化した言葉を求めてない。


 『本当のこと言って』


 目が そう訴える。


 でも 俺はそんな、
 残酷なこと 言えない。

 言いたくない。


 だからといって


 「大丈夫、産めるよ」なんて

 最低なうそもつけなかった。