「……」

 「薬、持ってこよっか」

 「ん…」

 「…ん、待ってて」


 真っ白な頬を撫でて
 静かに階段を下る。


 もう
 だいたい分かるようになった。

 月の終わりから始め頃、
 那衣は必ず
 腹を抱えてただ寝込む。


 生理痛。


 俺は一生味わうことのない
 那衣の、毎月の地獄。


 俺にも常識があるから、
 直接 その言葉を
 むやみに口にはしないけど
 那衣も別に
 気にしている様子はない。