ここにいるかぎり

 

 「……ッ違う!!」


 つい 大きな声が出て
 那衣がふせていた目を見開く。

 俺もどさくさに紛れて、
 気付いたときには
 那衣の両肩をつかんでいた。


 「いないよ本当に。

 …だって、だって 俺…、」


 「…有基?」




 言わない方がいいって
 分かってた。

 小学生の今は 絶対
 想いを伝えないって決めてた。


 まだまだ俺は
 足りないものが多すぎるから。