…私の笑顔が奏斗を救う?


「君しか奏斗は救えないから、必ず君を奏斗の妻にしてほしいと言われた時、正直私は戸惑った。

お互いを知らないまま結婚させることが、王室の未来にとって良いことなのか分からなかったんだ。

でも、私も妻も、父の遺言と君を信じてみることにした。
君が、奏斗に笑顔を取り戻してくれると信じて」


「僕に…?」


黙って聞いていた奏斗が、ただ一言、そう言った。



「奏斗、お前は自分では気が付いていなかったかもしれないが、年月が経つにつれて笑わなくなった。

親である私たちが、忙しさのあまり何もしてやれなかったことが原因じゃないかと私は悩んでいた。

でもどうすることも出来なくてな…」