「実は、遺言にはほとんどその理由は書かれていないんだ。 遺言には、三上 琴葉は必ず奏斗を救ってくれる、と書かれてあっただけ」 私が…奏斗を…? 「でも、父は亡くなる直前、私に君のことを話してくれたことがある」 「私のことをですか?」 「そうだよ。 父は君と一度だけ会ったことがあるんだ」 「私と?」 そんな覚えは無いんだけどな… 「覚えていなくても仕方ない。 正確に言えば、君を見かけた、と言った方が正しいかもしれない」