琴葉が状態を起こそうとして、少し顔をしかめた。 「どっか痛む?」 「…ちょっとね……でも、平気」 「寝たままでいいよ」 俺がそう言っても、琴葉は首を横に振って状態を起こした。 自分の腕の傷に触れながら琴葉が言う。 「こんな傷になってるなんて…気付かなかった…」 淡々としているように見えるが、琴葉の手はまだ震えている。 俺は、何も言わず琴葉を抱きしめた。 「奏斗…」 「ん?」 「怖かった…」