黒い車が3台続けて宮殿に入ってきた。


その車は、宮殿の目の前に止まり、真ん中の車から中野さんが降りてきた。


中野さんが後部座席の方に回り、ドアを開ける。


その開いたドアから、1人の女性がゆっくりと姿を現した。



初めて見る彼女は、艶やかな桜色の着物に身を包んでいた。



驚いた…


彼女は、美しかった。

まるで彼女の周りだけ世界が違うかのように輝いて見えた。


こんなにも誰かを美しいと思ったのは初めてだった。


彼女から目が離せない。



おそらく、周りにいた誰もが、彼女の美しさに息をのんだことだろう。