宮殿の入り口まで行くと、琴葉が見えた。


安堵の気持ちが一気に込み上げてくる。


しかし、すぐに俺は琴葉の様子がおかしいことに気付いた。


足取りはおぼつかず、今にも倒れそうだ。



「琴葉!」


俺が叫ぶと、琴葉は顔を上げた。


暗くて表情はよく見えないが、一瞬微笑んだような気がした。



しかし、次の瞬間、琴葉の体は地面に崩れ落ちた。


「琴葉!」


俺は急いで琴葉に駆け寄り身体を抱き起こした。


「琴葉!しっかりしろ!」


返事はない。


ぐったりと俺の腕の中で目を閉じている。