「奏斗、準備できた?」


隣の部屋の奏斗に声を掛ける。



「出来てるよ」


そう言って奏斗が部屋から出てきた時、私は思わず言葉を失ってしまった。


一般的に言えば、“見とれて”しまったのだと思う。



いつもの公務ではスーツなのに、今日はジーパンに白いシャツ、そして黒のジャケットを羽織っただけの、かなりラフなスタイル。


制服かスーツか部屋着しか見たことなかった私の目には、それがあまりに新鮮でかっこよく映り、何て言えばいいか分からなかった。