「あの日、琴葉ちゃんに好きだ、って伝えたんだ」 そんなこと琴葉は一言も言ってなかった。 「それで……琴葉は?」 俺がそう聞くと、兄さんは少し笑いながら言った。 「俺のことは、好きになれないって、あっさり振られたよ」 良かった…… 心の中でそう思っている自分が居た。 「琴葉ちゃんにはお前しか見えてないよ。俺の負けだ」 琴葉、それじゃあ、俺、期待してもいいのかな? 琴葉が俺のことを好きだって、思ってもいいかな?