父の部屋へ行くと、母さんも居た。
「琴葉姫、大丈夫ですか?」
「王様、王妃様、ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」
琴葉が深々と頭を下げる。
「琴葉が謝る必要なんてない」
俺がそう声を掛けても、琴葉は頭を上げようとしない。
「姫に、聞きたいことがあります。あの記事はどこまでが本当なのですか?」
「写真は、宮殿のテラスで私と和也さんが話していた時のものです。
ですが、深夜でもなければ、密会など……そんなものではありません」
「そうですか。安心しました。
しかし…あの写真、角度からすると宮殿内で撮られたもののようですね。
心当たりは?」
琴葉は力なく首を横に振った。
「もしかすると、宮殿内に情報を流した者が居るかもしれない」
今まで黙っていた父が口を開いた。
「そんな……」
「あくまで可能性の話だが」

