「母が亡くなってるのは、本当」 初めて聞く事実に、驚く。 妻のことをこんなにも知らないなんて… 「3年前に交通事故で、私の目の前で」 「そうだったんだ…」 ふと、沙穂が死んだとき、琴葉に「俺の気持ちなんかお前には分からない」と言ってしまったことを、思い出した。 俺は、なんてことを… 知っていたら、こんな、琴葉を傷付けるようなこと言わなくて済んだのに… 「でも、中身は事実じゃない。ひとつも」 俺は琴葉に言った。