「兄さん……」 「…あとは、決めるのは琴葉ちゃんだ」 俺には、琴葉が絶対に兄さんの方に行かないという自信なんて無かった。 もし行ってしまったらどうしよう、という気持ちだけが俺の心の中に渦巻いていく。 悪いのは俺だ。 俺がはっきりしないから…… 「奏斗、一つだけ言っておこう」 兄さんは俺に背を向けながら言った。 「琴葉ちゃんがもし俺のほうに来たら、その時は必ず、幸せにしてみせるよ」