「ちょっと待ってよ。そんなこと…」 「分かってる。許されないことだって」 「それならどうして……?」 俺がそう聞くと、兄さんは鋭い目つきで俺を見て言った。 「婚礼の儀で初めて琴葉ちゃんを見た時、俺は驚いた。こんなに綺麗な子がいるのかって…一目惚れだったよ」 確かに、あの日の琴葉は想像をはるかに越えた美しさだった。 「もちろん、そんな気持ちは押し殺していたよ、初めは。でもな……」 兄さんの表情が少しずつ苦しそうに変わっていく。