「最後なんて言うなよ」 「だって…本当のことだもん」 「沙穂………分かった。俺に出来ることならなんでもする」 「ありがとう、奏斗。私ね……」 沙穂の願いって、何だろうか? きっと、これが本当に沙穂の最後の願いになってしまうから、だから俺はなんだってしようと思った。 たとえそれが難しいことであっても。 でも、沙穂の願いは至って簡単だった。 「琴葉さんに会いたい」 ただ、それだけ。 だけど、俺はすぐには頷けなかった。