「単刀直入に聞こう。
奏斗、今、お前が結婚を考えている相手はいるのか?」


「……いえ…いません」


俺も高校生だ。

想いを寄せる相手がいない訳ではない。

ただ、それはどうせ叶わぬ恋だ……



「そうか。では、例のものを」


父がそう言うと、俺の付き人をしてくれている中野さんが、なにやら封筒を持ってきた。



「奏斗、読んでみなさい。今は亡き久仁王の遺言だ」

「お祖父様の…?」


これを見るのは初めてだった。


中には何が書かれているのだろうか…?