なんとなく外の空気に触れたくなって、私は一人テラスに出た。
昼間のうだるような暑さが嘘であったかのように、時々吹く風がひんやりとして気持ちいい。
「琴葉ちゃん」
「あ、和也さん…」
私に後ろから声を掛けてきたのは、和也さんだった。
「またここにいた。琴葉ちゃん、テラス好きなの?」
「はい。空が綺麗に見えるし、なんとなく落ち着くんです」
「そっか…俺と一緒だ。
俺も、ここに来ると一瞬だけ宮殿の息苦しさを忘れられるんだ」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…