「あっ、おかえり」 私は、帰ってきた奏斗をできるだけ笑顔で出迎えた。 「ああ、ただいま」 うっとうしそうな声で奏斗が言った。 なんだか、様子がいつもと違うような気がする。 「奏斗、何かあった?」 「いや、別に……」 「何かあるなら、言ってね…? これでも私、一応奏斗の奥さんなんだからさ…私だって、少しくらい…」 奏斗は私の言葉をさえぎって言った。 「琴葉には関係ない。俺の問題だから」