「ねえ、奏斗」 「ん?」 私は忙しそうに出かける準備をしている奏斗に、声をかけた。 「今日も公務?」 「いや…用事っていうか何ていうか」 こうやって、最近はなぜか、いつもあやふやにされる。 公務なら、言ってくれればいいのに。 「私…一緒に行っちゃだめ?」 私がそう聞くと、即座に奏斗が答えた。 「だめだよ。琴葉は勉強してて。 俺一人で大丈夫だから」