ドアをノックし、どうぞと言う声が聞こえたのを確認して、志保さんの部屋に入る。
「失礼します」
「琴葉ちゃん、いらっしゃい」
志保さんは笑顔で私を迎えてくれた。
奏斗にあんなことを言われて緊張していたけど、大丈夫そう。
「ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありませんでした」
「いいのよ。私と和也が公務で日本にいなかったんだもの。
仕方ないわ。さ、ここに座って」
私が席につくと、付き添いで来てくれている翔子さんにむかって志保さんが言った。
「琴葉ちゃんと2人で話したいから、席を外してもらっても良いかしら」
「承知致しました。それでは、私は外でお待ちしております」

