「待って・・・・んっはっ、ちょっと待ってって!ねぇ、孝明!」


あたしを翻弄する指や激しいキスの合間を縫って、少しだけ残っていた理性で孝明から逃れた。

バスタブの端に避難して、高ぶった心と体を必死に落ち着ける。


我慢できないのはあたしも同じ。

もっと触れられたいと欲する体はとっくに芯まで痺れていた。


「あー、ゴメン。疲れてるんだもんな、つい興奮しちゃって」

「そうじゃなくて、なんで?」

「え?」

「なんでそう孝明はあたしの決心を鈍らせるの? 困るよ、こんなんじゃ言い出せない」


でも・・・・辛いけど、本能に負けちゃいけないと思うんだ。

孝明の本当の気持ちを聞かないまま、あたしも別れを切り出せないまま最後のエッチなんて。

うやむやに終わらせたくない。


すると───・・。


「なんか勘違いしてない?」


ポカンと口を開けていた孝明が、やっと合点がいったというようにニッと笑ってそう言った。

それと同時に、距離をとっていたはずのあたしの体はスルスルと孝明に引き寄せられて。