◇◆あじさい◆◇

こんな形で隣に並ぶと、いつになく体が固まっていた。




『どうだぁ?母さんと…。
上手くやってんのかぁ?』


祐介が母の事を聞いてきたのは初めてだった…。



『…えっ?
あっ、…どうだろぉ…。
相変わらずってトコかなぁ…。』



『…そっかぁ〜。
いつから?
母さんと話さなくなったのって?』




一瞬、あの日の事がフラッシュバックした…。

母に「出てけ」と怒鳴られたあの日…。





『……5年生…かなっ?』



私は、あの日の事だけは、祐介に知られてはいけないと思っていた…。




『きっかけは?』



『…お弁当…。』




祐介は、下を向いた私の頭を片手で優しく撫でてくれた。




『誰だって、本人にしか分からない痛みがあるんだ…。お前が抱えてる悩みだって、きっと痛みは半端じゃない。取れるもんなら、取ってやりたいと思うよ…。』