◇◆あじさい◆◇

私達は人込みから少し離れた堤防の階段で見る事にした。


開始まで後15分…。

とっつぁんが転がってるボールを見つけると、2人は階段を下り、キャッチボールを始めた。



『ねぇ、風花…。』


沙織は2人を見つめながら話し掛けた。


『ん〜?』


『言っちゃえばぁ?』


『えっ?何を?』



『祐介に。
「好き」って…。』






一瞬にして熱くなる顔を隠し様もなかった。


沙織は、いつから気付いていたのだろうと思うと、急に胸が暴れ出した。




『………。』



『知ってるよ。
私達…、ずっと一緒にいるんだもん。
風花見てたら分かる…。

一度も教えてくれなくてもね。』