◇◆あじさい◆◇

家を出ると、私は急いで自転車を走らせた。


母と交わした些細な言葉を思い出し、自然に笑みが零れる。私には通い慣れたこの道が、いつもとは少し違って見えた。




その事を早く とっつぁんに伝えたいと思っていた…。






とっつぁんの家に着くと、もうすでに、皆の自転車が揃っていた。



『おじゃましまぁ〜す!』

『風花、遅かったねぇ〜!始めるよっ!』


とっつぁんママがグラスを手に出迎えた。


『はいっ!』




『遅いよ風花ぁ〜!早く早くっ!』



二階から沙織が顔を出し、皆を手招きしながら駆け降りた。後に続いて三人も。



『あらやだっ!あんた達揃って何処行くの!?パーティーは?』


とっつぁんママは驚いていた。



『あっ!俺言ってなかった?パーティーの前にタイムカプセル埋めんだっ!』



とっつぁんはクッキーの缶を見せた。



『んもぉ〜!聞いてないぃっ!ピザも焼きそばも冷めるからぁ〜、ほらっ、早く行っといでっ!ほら、ほら、ほらっ!』



とっつぁんママは呆れながらも皆の背中を押してくれた…。




『わりぃ!すぐ戻っから!』