◇◆あじさい◆◇

たわいもない事を話しているうちに、私の家の前に着いた。



『じゃあ…、後で。』



私が自転車を停めると、とっつぁんは少し真顔で私に言った。


『…ちゃんと、見せろよ?かぁちゃんに。』


『えっ?』


『卒業証書。』



【とっつぁん…。】




『ぅん!』



私は少し躊躇いながらも、笑みで答えた。



とっつぁんは小さくも力強く頷いて、自転車にまたがった。


私には「頑張れ」…そう言ってくれている様に見えた。




『じゃ俺、あいつら来る前に帰るわっ!祐介も急げっ!』





私は2人を見送ると、玄関の前に立ち、ゆっくりドアを開けた…。