◇◆あじさい◆◇

私達は誰かの誕生日以外、前以て、日にち指定での約束はあまりした事がなかった。そのくらい、常に一緒だったとも言える…。

そんな私達だったが、今日、この日だけは前以ての約束を交わしていた。

皆、とっつぁんの家に集合して卒業パーティーだ。そして、タイムカプセルを埋める計画をしていた。


先生の話も終わり、クラスメイトとの別れを惜しむ中…、


『風花っ!後でなっ!』

『カプセルに入れるもん
忘れちゃだめよっ!』



和也と沙織が先に教室を後にした。



『うんっ!』


二人は帰る方向が同じだから、一緒にいる時間が私達より、ほんの少し長い。


この後、沙織に気持ちを打ち明けるのであろう和也の背中に、私は小さく『がんばれ』と呟いた…。